熊本県山犬切(1562m) 積岩山(1438m)

九州百名山地図帳(山と渓谷社)No57,58




2016年3月22日 ・・・ 五家荘と五木村との境界に広がる稜線を歩く

 
五家荘の上福根山の南に位置し、東西に1400~1600mの高さで連なる山域である。
北側は五家荘の久連子、南側は五木村と水上村が広がっている。それぞれの谷を流れる河川の分水嶺となっている。
東端の山犬切(やまいんぎり)から北に延びる尾根筋は北山犬切、上福根山に連なっており、また東に伸びる尾根をたどれば白鳥山へと連なっている。
西端は積岩山である。 この間は6kmほどあるが高低差は少なく、快適な稜線歩きを堪能できた。
中央部分のすぐ下を通る泉五木トンネルの入り口から両方向へピストンをした。

 
 山犬切への稜線にはブナなど丈の高い落葉樹の中を歩く。一方、積岩山への稜線は落葉樹の下にアセビが群生しており、異なる味わいがある。

山犬切登山口駐車場(泉五木トンネル入り口)8:20―石楠山東峰9:15―山犬切 10:00 10:10―石楠山東峰10:40―登山口分岐点11:25
―鷹巣山12:10―蕨野山12:50―積岩山13:15 13:25―蕨野山13:40―鷹巣山14:15―登山口14:50



   
菊池人吉大規模林道の「泉五木トンネル」。ここが山犬 切登山口。トンネル脇に駐車場があり急坂で稜線上に上がる。駐車場で話しかけるとトンネルからこだまが返ってくる。それも2,3回   稜線上は、落葉樹林が続いており青空が映える。シカの せいか下草やササなどはほとんどなく落ち葉が積み重なって歩きやすい。   石楠越を越えると石楠山西峰、石楠山東峰と小ピークが 続く。写真の石楠山東峰には「補点」の標柱が埋められている。

 
 
   
石楠山を過ぎて次のピークあたりから石灰岩が現れる。 ところどころにドリーネが見られる。   石灰岩地帯には山シャクヤクの新芽?が出ている。付近 には緑色の新芽もありバイケイソウの芽のようだ。かなり広い範囲に分布しており、5月頃の素晴らしい景色が想起される。   快適な稜線歩きがまだまだ続く。

 
 
   
途中から分厚い苔が登山道わきに生えてくる。厚さが 10cm程はあろうか、踏み込むと実に柔らかい。   山犬切の山頂。鈍頂である。この辺りは倒木も多く、空 がところどころぽかんと開いている。   稜線から見た市房山。麓のモヤに浮か んでおり味わい深い。朝のうちは空気が澄んでおり、遠く雲仙岳も見渡せた。
   
上福根山も目の前にある。尾根づたいに行けば十分往復 可能であろう。   立ち枯れた木には巨大なサルノコシカケが・・
この木の形はカッパの口を連想した。
  鷹巣山の頂上付近。こちら側はアセビの群落が多く、ヤ ブコギならぬアセビコギを強いられる。

 
 
鷹巣山から蕨野山にかけては、倒木も多い。ホオノキの 芯は枯れた後も深い緑色をしており、付近には緑色の木片が散在する。   積岩山付近に来ると石灰岩の露頭が現れる。山犬切と似 た景色が展開される。   積岩山山頂にて。表記は現在は「岩茸山」となってい る。以前はここが積岩山とされていたらしいので、我々も納得!!

 

 

 今回の山々は名称と場所とが必ずしも確定していないようだ。地元では「山犬切」はもう少し北側の1621mピークを指しているらしい。山道での実際の表 記は、
今回登った「山犬切」には「南山犬切」と書かれ、地元の「山犬切(1621mピーク)」には「北山犬切」と書かれている。うまい使い分けである。
 山と渓谷社「九州百名山地図帳」によると、2010~11年ころに国土地理院の地図で「積岩山」が今回登った1438mピークから西隣の1414mピー クに移動し、
旧蕨野山が鷹巣山に、1438mの無名峰が蕨野山に変更されたらしい。なんとも複雑う・・・

 今回は両方向へ往復することで13km6時間半の行程であったが、起伏の穏やかな尾根であり距離の割には体力的に無理のないコースである。新緑の頃、山 シャクヤクの頃、紅葉の頃、
冬枯れの頃、とそれぞれに美しさの感じられる山域であろう。のんびりと歩くにはよいコースである。
 3月という緑の感じられない季節にもかかわらず野鳥の声は至る所で聞かれた。また、姿も見られた。
今日一日でシカ6頭、鷹2羽を目撃。シカの多さは深刻な状況だと肌で感じ、帰りに頭地の道の駅で「シカ肉のソーセージ」と「シカ肉のひき肉(冷凍)」を 買って帰ることとなった。