熊 本県太郎丸嶽(281m) 次郎丸嶽(397m)
九 州百名山地図帳(山と渓谷社)No62


2017 年2月7日 熊本県上天草島 低山ながら個性が光る兄弟2峰へ

 
 
 太郎丸嶽山頂から次郎丸嶽を望む。この界隈の山は、片側が崖で反対側はなだらかな傾斜の地形 (「ケスタ」と呼ぶらしい)が多い。
 

 三角半島から大矢野島、さらに天草上島へと渡るころから眼前に特異な形態の山が連なって現れてくる。
手前から千厳山(車で簡単に登れる)、千元森嶽、そして太郎丸嶽、次郎丸嶽である。
 太郎丸嶽と次郎丸嶽は1km弱の距離でつながっており、地元でも「兄弟山」としてアピールしているらしい。なぜか兄よりも弟の方が背が高い。
駐車場に書かれた「兄弟の伝説」の解説によると、背の高い兄が海側に位置しており、弟から海が見にくかろうと考え移動しようとしたら崩壊したという。優し い兄弟愛の物語だ。
 今回は知人と3人で、それぞれの兄弟関係を反省しながら、優しい兄の思いに敬意を表して太郎丸嶽から先に登ることにした。


今泉登山口駐車場9:30―太郎次郎の分岐10:10ー 太郎丸嶽山頂11:00 11:10-分岐11:40 ―次郎丸嶽山頂12:15(昼食)12:40
 ―分岐点13:15―今泉登山口駐車場13:50 (全行程6.0km)


国道324号線から左折してすぐの所に今泉 登山口の駐車場がある。トイレも近所に完備している。登山道や地元の紹介看板などがある。
地元の方の手製の案内人形? 地元も結構楽 しんでいるようだ。 駐車場からは集落内の細い道路を登ってい く。正面左が次郎丸嶽、右手に太郎丸嶽がわずかに見える。
角々には案内板があり迷うことはないはずだ が、案内よりも作り物に目を奪われ、道に迷いそうだ。
それにしてもよくできている。アッパレ!!
集落をぬけるとやがて自然林の中へと進んでいく。登山道は整備され ており歩きやすい。 途中に「長寿の湧水」という水場がある。 ネットには飲料には不適とも書かれている。
ほどなくして太郎丸と次郎丸の分岐が現れ る。
次郎丸嶽まで20分、太郎丸嶽まで30分だそうだ。
分岐を過ぎると岩場が多くなる。ロープや木 の枝を頼りにこれを登り詰めると太郎丸嶽山頂である。 山頂からは 緩やかな西斜面の先に有明海が広がっている。この日は霞んでいて残念ながら雲仙までは見えなかった。
一旦分岐点まで戻り次郎丸嶽へと登る。こち らの方は遠くから見ると断崖が連なっており、かなりハードな登りを想像するが意外と歩きやすい。 崖の上までくると最後に「松尾尾根の頭」と 呼ばれる大きな一枚岩に出る。これを越えると弥勒菩薩の祠が現れる。 祠の裏には「亀次郎岩」が崖の上にせり出し ている。「菩薩に念仏を唱えて、この岩から・・・」と変な想像をする。亀よりも獅子の顔に見えないかな?

次郎丸嶽山頂からは南方に竜ヶ岳が見える。 天草内では太郎丸嶽・次郎丸嶽と竜ヶ岳の2峰が九州百名山に入っている。 山頂にて記念撮影。岩の先端まで行っても岩 の下がどうなっているかは見えない。100m程下に森が見えるだけだった。


 帰りは途中まで往路を引き返し、谷に入らずに尾根をそのまま下り今泉の集落の上方に出てみた。集落の裏山には小さな社や墓、段々畑の石垣などが残ってい るが、生活のにおいはない。
この集落は空き家が目立つというほどではないが、高齢化人口減少の波の中にあって確実に生活圏が狭くなってきていると感じた。イノシシの領域が広がってい るということか。

 この兄弟2山は400mに満たない低山ではあるものの眺望に恵まれており、存在感のある登りがいのある山であった。