宮崎県大崩山 (1643m)
九 州百名山地図帳(山と渓谷社)No67



2015年11月25日・・・・ワク塚から小積ダキ・坊主尾 根への周回コースへ
 
 
 下ワク塚から東方を望む。崖下の祝子渓 谷から霧が湧き上がり幻想的な雰囲気に包まれている

 友人らと3人で前日に延岡に宿泊 し、早朝から大崩山を目指すことにした。前日までの天気予報では、終日「雨一時曇り」で1時間数ミリの降雨が予想されて いたため、
天気予報が外れることを祈念し、延岡の地でお神酒を 上げ床に就いた。朝6時前、延岡では星も瞬いていることから行動を開始。
期待通り天気予報は外れ、終日雨粒が落ちてこなかっ たのは幸いであった。
(最近の天気予報は、批判を恐れてか
最 悪の事態を想定して用 心しすぎ?大げさ?な予報が多いように思える。「降る」or「降るかもしれない?」の判断は我々の第六感の方が正確かも・・・)

  
登 山口7:25-大崩山荘7:50ー三里河原方向へ50分間徘徊ー渡渉点9:05-袖ダキ展望所10:30ー下ワク塚11:00-中ワク塚 11:25
ー小積尾根分岐(昼食20分)12:30-山頂13:00-小積尾根分岐13:25-小積ダキ13:45ー林道分岐15:10-登山口 16:00




林道沿いに ある登山口。道幅の広いところもあり駐車できる。この日の駐車は2台のみ。雨天の予報下では当然かも・・・
ワク塚への 渡渉点。前回は橋がかかっていたが流されたままである。岩を飛んで渡っていく。中高齢者は飛べそうで飛べない恐れもあり危険?
  

渡渉後は花 崗岩の尾根筋まで、梯子やロープも含めて急登が続く。


袖ダキ上からの展望。雲間に下ワク塚の岩峰 が垣間見られる。
袖ダキ上から足元を見れば、100mを超える深さの小積谷が覗け る。○○○がむずむずする。
袖ダキからさらに登り、いよいよ下ワク塚に 取り付く。梯子が連続しており、これをたどると下ワク塚の岩上に出る。
  


下ワク塚岩 峰から向かい側の小積ダキを望む。雲は晴れつつあるが、谷から新たな雲がわいてくる。ここから中ワク塚まで尾根上を歩く。
  

中ワク塚か ら見た上ワク塚。どちらを向いてもこのような鋭い岩峰が至る所にそびえている。
中ワク塚岩 峰の最高地点。梯子を渡っていけばどうにかたどり着ける。


ワク塚を越 えると花崗岩から堆積岩?へと変化し、なだらかな落葉樹林帯となる。スズ竹の中を進むと山頂である。以前は視界がきかなかったが、シカのおかげで見晴がよ くなっている。
  

山頂から小 積ダキへの尾根を下っていくと左手にワク塚の岩峰が望める。左端が上ワク、その次が中ワク、右側が下ワクである。
小積ダキか ら坊主尾根へと下り、象岩の側面をトラバースする。花崗岩は荒く滑りにくいので、恐怖感はない。

坊主岩。この尾根の下りは梯子とロープの連続だ。最初は数えていたが、途中で分からなくなった。梯子だけでも20か所以上はあったようだ。


 山にはそれぞれの表情がある。大崩山は強烈な顔をしている。他に類を見ないほどの巨大な花崗岩の岩峰群。深く切れ込んだ渓谷の豊かな水量と透明感。
五葉松やアカマツなどの常緑針葉樹とブナなどの落葉樹とが混在する広大な自然林。どれをとっても強烈な表情である。一度登れば脳裏に焼き付く山である。
 この山は九州の中にあって、百名山に名を連ねていないし、九重や阿蘇、祖母、脊梁などの代表的な山系にも含まれず、標高も1700mに達していないなど から、
状況的には二流の山の位置づけであろう。しかしながら、この山の強烈な表情とスケールの大きさを考えると、文句なしに「九州第一の山」との称号を贈りたく なる。

 大崩山への登山は今回で4回目であるが、今回は今までになくしんどかった。一歩踏み外せば滑落しそうな急傾斜や絶壁が至る所にあり気が抜けない。
また、それほど危険な場所でなくても不用心に足を出すと木の根でずるっと滑る。ほぼ全行程を通じて緊張を強いられた。スリル満点でもあった。

 連続する梯子やロープを通過し終わって家に帰ると、翌日は足腰だけでなく、腕から肩にかけてもパンパンに疲労している。
一年一年年を取っていく我々にとってこの山は、年々ハードルが高くなっていきそうな気がする。渓流で岩から岩へ飛び渡ることも年々危険になりそうだ。
そんな弱気になったのも事実である。それほどに深く大きな山であった。