宮 崎県矢岳(1132m)竜王山(1175m)
九州百名山地図帳(山と渓谷社)No85





2016年3月8日 ・・・ 霧島山群の矢岳を周回し炭化木と出会う

 
霧島高千穂峰の北方にひっそりとたたずむのが矢岳、竜王山である。
両山はなだらかな稜線でつながっており、遠くからは台形に広がった一連の山に見える。
 この2山と高千穂峰、中岳、新燃岳の間はなだらかな斜面が広がっており、この中に炭化木の谷はある。
新燃岳の火砕流で覆われた樹木が蒸し焼き状態となり炭化し、その後土砂が流されて炭化木が谷の中に数多く残っている。


 土中に埋まる炭化木。これらは立ち木のまま火砕流に埋まり、300年ののち川の浸食で再び地上に出てきたということか。


「矢岳登山口」駐車場9:15―南面コース分岐9:50―南面分岐10:35―矢岳 山頂10:50 11:00―竜王山頂11:30
―炭化木12:00 12:20―高千穂河原分岐12:55―駐車場13:35


 

   
高原町の皇子原公園を通り過ぎ林道終点が矢岳登山口 で、広い駐車スペースがある。中央に見える看板横から入る。   気持ちの良い樹林帯の中を登っていく。すぐに直登ルー ト分岐となるが我々は南面コース分岐から右折した。   山の斜面は、赤松の巨木やモミ・ツガの高木、ユズリハ やツバキの中低木など変化が面白い。最後はススキの原となり、稜線にたどり着く。

 
 
   
矢岳と竜王山との稜線上に南面分岐はある。ここからは 左右ともにのんびりとした山歩きが楽しめる。   矢岳の山頂にて。360度の見晴らしである。   韓国岳や新燃岳などはいずれもゆるいカーブの丸っこい 形をしているが、高千穂峰だけは天を衝く鋭さがあり、どこから見ても実に美しい。

 
 
   
矢岳から竜王山へつながる稜線。後方には左から中岳、 新燃岳、韓国岳とつながって見える。   竜王山の山頂。冬は落葉して眺望がきくが夏場はほとん ど眺望が望めそうにない。こちらの方が矢岳より高いがどうも影が薄い。   竜王山からの下り坂で見たカゴノキ? 迷彩服モードである。
   
さらに下ると目の前に深い谷が現れる。この谷の中に炭 化木はある。   2本目の谷を登っていくと案内板がある。これより上流 に大きな炭化木はあった。1700年代に新燃岳の火砕流で炭化木が形成されたと記載されている。   足元にも立木の状態や倒木の状態で埋もれている。炭が 野ざらしになっている状態なので崩壊していくのは致し方ないのかな・・
   
炭化木の谷を出てしばらく歩くと大きな涸れ川に出た。 河岸には地層がダイナミックに表れており、度重なる噴火でこの地が形成されていることがわかる。   左写真のすぐ下流(右方向)には、大きな炭化木が半分 埋もれた状態で見られる。妻には仁王様に見えるとか・・・   この後、高千穂河原との分岐を経て駐車場へと戻るが、 この一帯はゆるやかな丘陵地となっており、新緑の時に歩いてみたい道である。



 

 霧島は火山とはいえ、結構樹木が美しい。樹種は限られているのかもしれないが、アカマツやモミツガのような高木針葉樹のほか、ヒメシャラやコナラなどの 落葉樹、ツバキなどの照葉樹と
結構変化が楽しめる。今回の矢岳も稜線こそ高木はないが、山腹には結構な高さの巨樹も見られ楽しませてくれた。自然林にあっては杉の高木でさえ堂々とした 威風を感じさせる。

 炭化木は初めて見たが、火山の歴史を肌で感じられ、鳥肌が立つ思いである。泥に埋まり炭化した樹が、300年の月日を一気に私に語りかけてくる。
地学の世界では何万年の単位でものを考えることが多いように思うが、僅か300年というごく短い時間でも台地は大きく変化していることに驚かされた。
次回、ぜひ孫を連れてきたい。若い感性でこの大地の息吹を感じてほしいと思った次第である。