熊 本県上福根山(1645m) 岩宇土山(1347m)
九州百名山地図帳(山と渓谷社) No56





2017 年3月8日 雪に埋もれた福寿草を期待して脊梁のワナバ谷へ
(岩 宇土山1347m) 
 
 
 岩宇土山へ続く痩せ尾根から久連子山のピークを見下ろす。この辺りは普段は石灰岩で白っぽい が、今日は雪で真白だ。



 例年、この時期はワナバ谷の福寿草が真っ盛りのはずである。
この日、少々冷え込んで雪も心配だったが、雪の中に咲く福寿草もおつなものと考え出かけてみた。

九州自動車道を氷川ICで降り、県道25号で五木村頭地へ入り、久連子集落に9時過ぎに着いた。道路わきの駐車場に車は1台もない。

 登山口の標高は650m程度で、この辺り から上は雪で真っ白になっている。登れるところまで登ってみようということでスタートする。

岩宇土山登山口9:15ー鍾乳洞10:50-岩宇土山山頂11:25-ワナバ谷分岐11:40-白崩平12:10(昼食)12:40
-ワナバ谷登山口13:10-岩宇土山登山口13:30(全行程5.2km)

登山口付近では道路に雪はないものの山肌には新雪がか ぶさっている。いきなりの急斜面に滑らないように用心して進む。 山の神の石像付近。足元が滑り体力を消耗しそうなので、軽アイゼン (チェーンスパイク)を装着。グリップがきいて滑る不安から解放される。
この辺りからは、急斜面を横切ることが何度もある。こけたら大変だ。バ ランスを取りながら3本足で進んでいるようだ。
鍾乳洞付近は風が冷たく、寒くて写真もさぼってしまった。この辺りは石 灰岩がごつごつとした急斜面で普段は歩きにくいところだが、この日はでこぼこが感じられず歩きやすい。
枝には霧氷も見え始め美しい。今年の冬九州ではまともに雪が降っておら ず、久々の雪景色に心うきうきとはしゃぎまわる。すばらしい! 岩宇土山頂にて撮影。風が強いのでそそくさと出発する。雪が深いため、 上福根山は登らずにワナバ谷へ下ることにした。
ワナバ谷との分岐。昨年通った時、これから先谷を下る 部分は急峻で滑りやすかったと記憶している。ちょっとばかり不安だ。
かなりな急坂ではあるがきれいに雪が積もっており、一度も滑ることなく 安全に下ることができた。森を出ることから天候が回復し、日差しも出て暖かくなってきた。アイゼンが高下駄になりだしたのでここらで外す。
白崩平にたどり着く。一面福寿草が咲いているはずだが、一面雪が覆い一 つも見当たらない。
雪をはねのけるのもかわいそうなので、そっとしたまま下ることにした。残念です。
 


 
青空も見え始め岩宇土の尾根もはっきりと見えてくる。 ワナバ谷登山口付近の林道。
気温が上がりだしたため急速に雪は解けていく。我々のためにだけ雪景色を準備してくれたような天候だった。
駐車場に戻ると、バスが1台止まっている。ほどなくして10数名のパー ティーが下山してきた。話を聞くと、我々の足跡を頼りに登ってみたものの雪がひどくなり、早々に引き返したとのことだった。
 多人数パーティーだと、急斜面では雪が固まるか剥げるかして、後から登る人は滑りかねない。賢明な判断だ。










2016年2月26日 ・・・ 五家荘久連子の里に咲く福寿草を訪ねて岩宇土山、上福根山、オコバ 谷をめぐる


 福寿草の黄色、石灰岩の白、スギゴケではなくヒカゲノカズラ?の緑が印象的でし た。

「久連子の里」駐車場8:00―岩宇土山登山口8:20―鍾乳洞(久連子山)10: 10―岩宇土山頂10:45―オコバ谷分岐11:00
 ―林道11:30―上福根山頂12:30(昼食)12:45―オコバ谷分岐13:25―白崩平(福寿草自生地)13:55―オコバ谷登山口14:35― 駐車場15:10



岩宇土山側から見た上福根山


 早朝に自宅を出発し、九州道氷川ICで一般道に出て、大通り峠越えで五木村頭地を経て久連子集落へ。
この時期、地元では「久連子の里」を中心に福寿草祭りが開催されており、この施設の駐車場に車を置いて標高差1050mの周回コースをたどることにした。

この時間「久連子の里」には登山者の車は見当たらな い。ウォーミングアップを兼ねてここから歩き始める。 1kmほど登った所に登山口はある。4,5台が駐車。ここからは尾根を這い上がる急登が続く。この急登に連れ合いがダウン。その後は スローペースに。 2時間弱で尾根筋の鍾乳洞に着く。鍾乳石なども小規模ながら見受けられ る。



鍾乳洞のすぐ上に石灰岩の岩峰があり「久連子山頂」の 表示がある。ここからの眺めは素晴らしく久連子集落が足元に見渡せる。振り向けば岩宇土山がすぐそこに見えている。 久連子山からさらに石灰岩の尾根道をたどると尾根の途中に「岩宇土山 頂」の表示がある。山頂の風格はない。 岩宇土山からは尾根づたいに上福根山頂へと登っていく。林道を超えた尾 根筋にはブナやカヤなどの大木が見られる。



上福根山頂は、四方が樹に覆われて見通しは悪いものの、各方向に尾根が 伸びており、この山塊の大きさは実感できる。往路を引き返す。 オコバ谷分岐から植林地内の急坂を30分ほど下ると白崩平が開けてくる。一面福寿草の花畑である。登山道にはロープが張ってあるが足 元にも花が開いている。踏まないように用心!
写真を撮っていると切りがない。次々と撮影するが、ピントずれの写真ば かりが増えていく。

オコバ谷の崩落後に作られた砂防ダムや擁護壁があちこ ちに見られ痛々しい。登山道もテープを頼りに右へ左へと忙しい。
オコバ谷登山口まで下りてきた。ここからは川沿いに作業道を歩き岩宇土 登山口へと戻る。谷筋にはかなりな土砂が流れ込んでいた。
最後に、途中で見かけた氷と雪。
倒木から下がったツララ。下を通るときは用心を。
鍾乳洞内にできた「氷の石筍」?小ぶりなので葛饅頭にも見える。 雪で坂道が滑るので軽アイゼンをつける。1足分しか持 参しておらず、夫婦で分かち合い片足のみ装着する。片足でも結構助かった。

 岩宇土山は石灰岩に覆われており結構急峻な地形となっている。表面は杉山等で覆われていても傾斜は急である。斜面を横切るのに苦労する傾斜である。
また、尾根筋から見下ろすと(特に南側)、麓が広がるというより河川にえぐられて釣鐘状になっているように感じる。標高差700m弱を2km程の距離 (GPSの計測値)で登っている。
上福根山頂往復で考えても標高差1000mを7~8km程度で往復していることになる。険しい山であった。
 この険しさとミスマッチとも感じるのが福寿草の花である。一見可憐な花ではあるが山の崩落にもめげず、登山道にでも芽吹くたくましさが感じられる。
まだまだツボミも多くしばらくは楽しめそうである。福寿草だけならオコバ谷登山口から白崩平を往復するほうが安全である。
岩宇土山を超えるのであれば2度や3度は滑りこけることを覚悟すべきである。

 帰りは子別峠から大通峠へまわり3号線へと出たが、車窓からシカを見たのが4回。1回目は驚いたが、回数を重ねると驚きというよりも被害の大きさに思い をはせ胸が痛んだ。
せめてシカ肉でも買って帰ればよかったが、残念ながら「久連子の里」では販売していなかった。
買って帰った「もろみ豆腐」を肴に、自宅で酒を飲み(私だけ)ながら夫婦で反省会を開いた次第である。