鹿 児島県磯間嶽(363m)
九州百名山地図帳(山と渓谷社)No94


2016年6月7日 ・・・  薩摩半島 小粒ながらピリリと辛いサンショのような山

 梅雨に入ったが「2日間は雨なし」の予報を受け、鹿児島県の2山に登ることにした。
 一つ目は磯間嶽である。薩摩半島南さつま市にあり、「九州100名山(山と渓谷社)」の改訂版で登場した山である。
 案内本によれば、400m弱の低山でありながら変化のある岩稜コースが楽しめそうである。
 一周5km程度の距離ながら5時間弱の所要時間が示してあり、少々厄介なのかも知れないと予感する。
加世田の市街地を過ぎ海岸の大浦町から山に向かう。目の前に見えてきた磯間嶽、確かに稜線はでこぼこしているが大した高さではない。
 近づくとこの時期の低山らしく 下草などがうっそうとしていて、ニョロを連想し少々気がめいる。が、気を取り直しいざ出発。


麓から望遠で見た山頂。荒磯の岸壁を連想させるのか・・・       山頂への最後の岸壁には30m程の長い鎖場がある。傾斜はきつい。



林道入口(駐車可)11:00―岩稜コース登山口11: 15―大坊主岩11:35―325mピーク12:20
―第9岩場12:50―中岳13:15 13:25―磯間嶽山頂14:30 14:45―大浦登山口15:10―駐車場15:35(全行程5.3km)


 

林道入口。 この林道は倒木や土砂崩落などで荒れた状態である。ジャングルの中に開かれた道路跡という状態。 林道終点か ら岩稜コースに入るといきなり垂直の岩壁が出現する。傾斜が厳しくロープなしでは危険かも・・・
しばらくは 岩場の連続である。そろそろ最後に現れたのが大坊主岩。これは右に迂回する。この後ろには小坊主岩もある、
 

うっそうと 茂った照葉樹林帯に囲まれて尾根だけが岩稜である。安山岩系の溶岩のようなものでしっかりとしており、岩が外れるような不安はない。 岩稜帯を過ぎると照葉樹林帯の中を上下する 普通の歩きになる。ほどなくして325mのピークに到着。 325m ピークから一旦下り、中岳の尾根に取り付く。尾根沿いにいくつかの岩場も通ったが、危険は感じない程度のもの。中嶽山頂も視界はよくない。
 

中嶽から磯間嶽までは岩尾根の連続である。 途中いくつかの岩峰は迂回するが、その迂回路もけっこうな斜面である。なかなか先に進まない。 途中のピー クから中嶽のピークを望む。前に進むというより絶えず上下に移動しているようなもので、歩けども歩けども目的地はなかなか近づかない。 やっとたどり着いた磯間嶽頂上の岩峰下。頂 上まで鎖がかけてある。最後の登りだ。慎重に・・・
 


この傾斜だ と鎖を頼りにしないと危ない。垂直だが、足の置き場やつかむ所はふんだんにある。
ヨイショッと。
垂直の後は横への移動。こちらの方が緊張す る。 山頂だ。 363mとは思えない達成感のある山だった。眺望も最高。桜島、高隈山地、開聞岳、硫黄島あたりまで見渡せる。
 


 この山が「九州100名山」に新しく加えられた理由がわかる気がした。低山にもかかわらず実に面白い。
低山で岩場が楽しめる山となると、九州では大分県の田原山や中山仙橋、さらには耶馬渓の競秀峰、佐賀県の黒髪山などを思い起こすが、この磯間嶽は一押しで ある。
このコースでは、中嶽が394mで磯間嶽よりも30mほど高い。しかしながら登ってみるとやはり主峰は磯間嶽である。山頂の岩峰には風格が漂う。
 今回この山を十分に堪能したが、登山時期は考えたほうがよい。夏場の厚さは6月でも予想できる。岩場では照り返しが、樹林帯では蒸し暑さが迫ってくる。
さらには登山者が少ないことから、雑草の踏み分け、クモの巣との戦いも強いられる。6月上旬はぎりぎりの時期だったように思えた。

最後に、今回は尾根筋でニョロに1匹お会いした。シマヘビである。
もし、岩をつかんだ時にニョロっとでも出てくれば、私は岩から手を放し転落すること間違いなしである。クワバラクワバラ・・・