宮崎県鉾岳 (1277m)
九州百名山地 図帳(山と渓谷社)No68



2015年12月5日 花崗岩の清流をぬけ、巨大な一枚岩(スラブ)の上に立つ 
 
 
 雌鉾岩の頂上に登る最後の梯子とロープ。谷向こうは 雄鉾岩の壁。

  
大崩山のすぐ隣に位置する鬼の目山の中腹にそそり立つ鉾岳に今 回は出かけてみた。高千穂から延岡に通じる国道218号線から分かれ、
鹿川沿いに県道214号の狭い道をさかのぼること1時間余りで鹿川キャンプ場駐車場に着く。この県道沿いには比叡山、矢筈岳、丹助岳といった花崗岩の岩峰 が

天に向かって伸びており、前方と頭上とを交互に見な がらの忙しい運転が続く。いづれも高さこそ1000mには満たないが、堂々たる山容である。
 鬼の目山の方は、旧版の九州百名山には掲載されて いたが、新版では外れており、今回も時間があれば登ろうかというくらいの気持ちで出発した。
結局のところ、5歩進んでは上を眺めシャッターを押 す、の連続で思いのほか時間を食ってしまい、鉾岳だけで十分満足して帰ってきた次第である。

  
登 山口(鹿川キャンプ場)9:20-渡渉点1 10:30ー渡渉点2 11:20-林道11:30ー鉾岳山頂(雄鉾)11:50昼食12:10
-雌鉾12:35 12:50 ー林道13:15-登山口14:30




左が鹿川キャンプ場駐車場。右が登山路となる。しばらく舗装された林道 を登る。
途中から見た鉾岳。中央が山頂の雄鉾岩で、右肩が雌鉾岩。両峰の右側の 谷中をさかのぼることになる。
1回目の渡渉地点。水量はある程度あるものの岩が大きいので渡渉に不安 はない。ここで左岸に渡る。その先で「滝見新道」に入る。
  


左岸から見た雌鉾の岸壁。中央に大滝が落ちている。右岸は写真のような 一枚岩だが、左岸も傾斜が急である。梯子やロープを頼りに進んでいく。
谷筋をなんとか這い上がると、やっと緩やかな流れが見えてきた。手前の 樹木には氷がまいている。このコースは氷結すればかなり危険!?
2回目の渡渉点。花崗岩の岩肌に澄んだ清流が流れまさに桃源郷。ここで 右岸に渡り、ほどなくして林道に出る。
   


林道から10分ほどスズ竹の中を進むと山頂(雄鉾岩)に出る。先端は 100mを超す絶壁で、これ以上先には行きたくない。
山頂から北方に大崩山が見渡せる。大崩もこちらから見るとなだらかなお となしい山である。
次に雌鉾岩へ向かうが、こちらは梯子ありロープありとスリル満点であ る。雌鉾岩から西側を覗く。ここからなら空を飛べるような気になるが・・
  


雌鉾岩の上は結構広いので、端に行かない限りさほどの恐怖感はない。後 方の山は鬼の目山である。
雌鉾岩頂上にて撮影。この岩には「日本一のスラブ(一枚岩)」と書いて ある。とにかくでかい。高い。大きい。
  



 この地域には、大崩山をはじめとして花崗岩の岸壁、岩峰を持つ山が点在している。その中でもこの鉾岳や、前述した比叡山、矢筈岳、丹助岳などは、
いずれも鋭く天を突くような岩峰を持っている。しかしながら比叡山、矢筈岳、丹助岳は登ってみると、はたから眺めるような壮大さが山頂では感じられない。
これらの山は外から見上げているのが一番だと感じた。しかしながら、この鉾岳は違っていた。岩の上に立った時、そのスケールの大きさに圧倒される。
雌鉾岩は高さが雄鉾岩より低いため、眼前100m先に御鉾岩が立ちはだかってはいるものの、その存在感では引けを取らない。
地球のエネルギーを肌で感じ取れる、すばらしい山であった。