熊本県大金峰 (1396m)・小金峰 (1377m)

九州百名山地 図帳(山と渓谷社)No55


2015年12月25日)・・・脊梁の中央部にあって「とらえどころのない山?」を歩く

 
  この山の顔ともいえる「マムシ危険」の看板。特徴の ないこの山にとってこれこそが特徴?

  大金峰、小金峰は
九 州山地のほぼ中央に位置している。この山系は1400m近くの小ピークが南北に7~8km連なっており、北の端が大金峰、南の端が小金峰である。
 この山にはこれまで何度も登ろうと 考えたが、登山案内の書籍やネットの記事を見てみると「マムシ注意」の看板の写真や彼との遭遇のレポートなどが記載さ れている。
中には、10数匹と遭遇したなどの記載もあり、ニョ ロが苦手な私は読むたびに気が萎えてしまい断念することの繰り返しであった。
 もう一つ問題があった。この山に登るには国道 445号を通り二本杉峠へと登る必要がある。北向きの断崖絶壁にへばりついて登る狭い酷道である。
一度雪が降ればチェーン規制がかかり、最後は通行止 めになるという悪路である。
 今年は暖冬で2,3日前にチェーン規制も解除さ れ、しかもマムシの心配もないことからこの日にいざ決行!!
 
大金峰駐車場 9:20 -大金峰10:30 10:35 ー せんだん轟 への分岐11:40 -小金峰12:05昼食12:30-大金峰分岐13:45ー駐車場14:30



国道445 号線二本杉峠から1km程下ったところが大金峰の登山口である。この日は1台のみであった。
天気予報で は「晴れ」であったが、朝のうちは濃い霧が立ち込めていた。湿った落ち葉の中を登っていく。
  

登路沿いに は、何段にも林道が入り込んでいる。地図にないものも多い。1300mの稜線まで植林がなされており、完全な自然林は少ない。


登山口からおよそ1時間で大金峰への分岐点 に着く。この辺りは風が強く、僅かではあるが霧氷が着いていた。
大金峰の山頂は杉山の中にあった。山頂の風格は全く感じられない。 当然ながら眺望は全くきかない。
  

大金峰から1時間半ほどで小金峰への分岐が 現れる。ここから急坂を左に入る。


小金峰山頂 までの道は熊笹が覆いかぶさり、頭を下げて潜り抜けていった。落ち葉が積もっており、雨が降ればスリップしそうだ。
小金峰山頂 付近は、狭いもののブナなどの巨木やシャクナゲなどの低木が茂っており、落ち着いた自然林の体をなしている。
  

山頂から東 方向を望む。左から国見岳(1739m県内1位)、五勇山(1662m同5位)、烏帽子岳(1692m同3位)。


稜線沿いの 風の強い部分にわずかに着いた霧氷。
この地域に はカラマツの造林が何か所かあった。登山道には美しいカラマツの落ち葉が積もっている。
  

稜線に僅か に残っているブナの巨木。ここでは直径50㎝を超えるような樹木は僅かしかない。植林に伴って伐採されてしまったと思われる。

 登山道は、最初の30分ほどはややきつい登りではあったが、その後は高低差の少ないだらだらした道を延々と歩き続けることになった。杉やヒノキの中で あったり、
両側をクマザサに覆われて空の狭さを感じる道であったり、雨でえぐられた深い溝の中を進む道であったりと、変化はあるが味気のない道であった。
往復13kmを5時間ほどかけて歩いたことになる。この山域は全域にわたって造林が進んでおり、わずかに残っている自然林も大きな木は数えるほどであっ た。
僅かに小金峰の山頂付近だけは種々の樹種が織りなす自然林が残っていたがほんのわずかな面積である。

 山深い九州山地のど真ん中にあり1300mを超す高度があるにもかかわらず、どこか低山、近所の里山のような錯覚に襲われる山であった。
この山は「九州100名山に名を連ねているがその風格を満していない(特に大金峰は)」と私は思ったがいかがなものか、他の人の感想を聞いてみたいもの だ。